2020年09月

20209月の資本論まなぶ会の報告をします。

19日の午後2時から、大東市のサーティーホールで、数名の参加者の下に行いました。

今月のテーマは、(先月に引き続き)「b・支払手段」としての貨幣です。

 

「b・支払い手段」は、12パラグラフに分かれています。第一パラグラフから第四パラグラフまでは、支払い手段としての貨幣の特徴が描かれています。商品の購買や、商品が流通する際の手段としても貨幣は使われますが、それとは違った、支払い手段としての貨幣は、商品流通の発展に伴い、商品の受け渡しと、その価格の実現とが時間的に一致しなくなる事情が発展するとともに生まれてきます。第五パラグラフと第六パラグラフでは、満期になった債務の支払いにとって、必要な貨幣量が問われています。

 

先月とダブるところもありましたが、今月は第六パラグラフから音読し、レポートし、疑問を出してもらい、議論を始めました。

 

そこで出た問題ですが、第六パラグラフの最初でした。「多くの売りが同時に並んで行われることは、流通速度が鋳貨量の代わりをすることを制限する」というのですが、この「制限する」の意味は何かです。訳によっては「難しくする」、英語版では「リミット」すると言われています。

 

流通手段として貨幣が機能する際には、その流通速度が速くなると、鋳貨量が少なくて済みます。しかし、支払い手段として貨幣が使われるようになり、多くの売りが同時に並んで行われるようになると、それによって貨幣の流通速度が、鋳貨量を補うことを難しくするというのです。この「制限する」と言う点ですが、何を制限するのかといえば、「流通速度が、鋳貨量の代わりをすること」を制限するというのです。「流通速度が鋳貨量の代わりをする」のは、流通手段としての貨幣が問題になっている時です。とするなら、「代わりをすることを制限する」と云うことによって、流通手段としての貨幣と、支払い手段としての貨幣の違いが浮き彫りにされています。実際に、もし「多くの売りが同時に並んで行われる」なら、商品の価格総額は増えますが、同じ貨幣片が、商品価格の実現に係わることは難しくなりますが、こうしたことが確認されました。

 

次の第七パラグラフですが、支払い手段としての貨幣が含む、矛盾が描かれています。そしてこの矛盾は、貨幣恐慌と呼ばれる瞬間に爆発するというのです。この「恐慌の可能性」については、流通手段としての貨幣において、すでに触れられていたことがレポートされました。

 

ここで出た問題は、支払い手段としての貨幣が含んでいるという矛盾についてでした。矛盾と対立はどう違うのかなどに話は発展し、レーニンの哲学ノートまで報告されました。マルクスも「恐慌の時には、商品とその価値姿態すなわち貨幣との対立は、絶対的な矛盾にまで高められる」と言っています。こうした哲学的な問題について俄かに議論することは出来ませんでした。ただ、支払い手段としての貨幣に話を絞り、その支払いが相殺される場合と、現実の支払いがなされなければならない場合との違いが問われ、その際には、貨幣は流通手段としてではなく、絶対的な商品として現れます。そしてさらに、貨幣は観念的な姿ではなく、貨幣としての貨幣が要求される様子が(七パラで)描かれていることが確認されました。

 

なお、対立と矛盾の相違ですが、ヘーゲルは次のように言っていました。「実在性の区別をより詳しくとらえるならば、この区別は差異性から対立になり、またこうして矛盾になる」と言い、さらには「そしてあらゆる実在性の総括一般は、自己自身における絶対的な矛盾になる」とさえ言っていますが、区別、差異、対立、矛盾と言った話の流れが見えてきます。

 

第八パラグラフまで進みましたが、ここでは「与えられた一期間に流通する貨幣の総額」について描かれていました。もし「流通手段および支払い手段の流通速度が与えられている(変化しない)なら」として、それは➀「実現されるべき商品価格の総額」プラス②「満期になった所支払いの総額」マイナス③「相殺される諸支払い」マイナス④「同じ貨幣片が流通手段と、支払手段の機能を交互に果たす回数だけの流通額」で与えられるというのです。ここは特に議論にはなりませんでした。が、最後の「同じ貨幣片が流通手段と、支払い手段の機能を交互に果たす回数だけの流通額」の意味が分からないことに気づきました。また考えてみます。

 

以上、今月の報告を終わります。

2020年9月の「資本論まなぶ会」の案内をします

場所・大東市サーティーホール公民館

日時・9月19日・午後2時から

テーマ・第一遍・商品と貨幣
     第三章・貨幣または商品流通
     第三節・貨幣
     b・支払い手段
     第の第6パラグラフからです

多くの参加をお待ちしています



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